予防歯科

自分の歯を残すことは重要なの?

自分の歯を残すことは重要なの?

自分の歯を残すことはとても重要です。歯を残すことで噛む機能面はもちろん、発音や見た目などの審美面にも影響を及ぼします。

歯を残すことの重要性

自分の歯を残す重要性は、機能面や審美面が、人工歯に比べて優れているからです。

1. 噛む機能を保てる

天然歯とインプラントを比較しましょう。

比較項目 インプラント 天然歯
噛みごたえ 天然歯に比べて違和感が出るケースも有 自然でスムーズな噛み心地
衝撃の吸収 歯根膜がないため、咬合圧が直接骨に伝わる 歯根膜がクッションの役割を果たし、衝撃を和らげる
感覚の伝達 温度や圧力を感じにくい 神経が通っており、感覚をしっかり感じられる
栄養吸収 骨と結合しているが、栄養吸収しない 血管が通っており、栄養吸収する
骨への刺激 刺激が少なく、骨が痩せやすくなるケースも有 適度な刺激で骨の健康を保つ

年齢や個人差はありますが男性で60kg、女性で40kgの咬合力が天然歯にはあり、感覚を持っています。それらの咬合力で消化を助け、栄養の吸収を促しています。

2. 発音や見た目を維持できる

歯がそろっていると、言葉の発音が正しくでき、口元の見た目も自然に保たれます。反対に、歯が抜けてしまうと噛むことができず、口周りの筋肉や顎の骨が痩せてしまい、口元が老けて見えることもあります。

3. 脳への刺激を与える

噛むことにより脳が活性化し、認知症予防にもつながるとされています。特に奥歯の噛む力は、脳への刺激に重要です。

4. 他の歯への負担を減らせる

1本でも歯が失われると、周囲の歯に過度な負担がかかります。噛み合わせのバランスが崩れる原因にもなるため、歯を残す必要があります。

5. 入れ歯・インプラントの必要がなくなる

歯を失えば、その欠損した部分に補綴(ほてつ)治療が必要になります。

  • インプラント
  • ブリッジ
  • 入れ歯

治療には、時間・費用・メンテナンスの手間も増えるため、自分の歯を残すことが最も合理的です。

歯を失う原因は加齢のみではない

多くの方が「年を取ると歯が自然と抜ける」と思いがちですが、それは誤解です。年齢を重ねても、しっかりケアをしていれば20本以上の歯を保つことは十分に可能です。実際に80歳を超えても多くの歯を保っている高齢者も珍しくありません。

歯が残っていることが健康寿命に直結する

歯が多く残っている高齢者は、全身の健康状態が良好であることが、研究から明らかになっています。

  • 認知症のリスクが低い
  • 要介護になる期間が短い
  • 日常生活の自立度が高く、活動的
  • 健康寿命が長くなる傾向がある

つまり、歯の本数は単に見た目や食事のしやすさに関わるだけでなく、快適に人生を送るQOLに影響します。

若い頃からのケアが将来を左右する

歯の健康を長く保てるかどうかは、年齢ではなく、若い頃からの口腔ケアの習慣によって大きく左右されます。特に大きな影響を与えるのは次の2つの疾患です。

  • 虫歯
  • 歯周病

どちらも予防可能な細菌感染であり、適切なブラッシング、定期検診の受診、食生活の見直しなどでコントロール可能です。

忙しい時期ほど口腔ケアが後回しになりがち

20代〜40代は、仕事や育児、家庭などで多忙を極める時期です。そのため、どうしても自分の健康、とくに歯のケアは後回しにされがちです。しかし、実はこの時期こそが歯を失うリスクが急激に高まる分岐点です。

40代を過ぎると唾液の分泌減や新陳代謝の低下により、歯周病の進行が加速し、気づかないうちに歯を支える骨が失われていくこともあります。

予防歯科が自分の歯を残すために大切な理由

予防歯科は治療しないための医療です。毎日のセルフケアに加えて、歯科医院での定期的なチェックとプロケアを継続すれば将来の歯の健康を守ることができます。

虫歯や歯周病を未然に防げる
治療ではなく病気にならないことが目的です。そのため、歯を削ったり抜いたりするリスクを減らせます。

歯の寿命を延ばせる
一度削った歯を元に戻すことができません。予防によって天然歯を長く保つことが可能です。

全身の健康にもつながる
歯周病は糖尿病や心疾患などの全身疾患とも関係があります。予防歯科を行えば、全身の健康寿命につながります。

医療費の削減
歯の状態が重症化する前に発見して対処できます。予防歯科で通院する方が、義歯治療で多く通院するよりも、将来的な治療費を抑えることができます。

予防のためにできること

方法 内容
毎日のブラッシング 正しく歯を磨いてプラーク(歯垢)を取り除き、就寝前は念入りにする
デンタルフロスや歯間ブラシの使用 歯ブラシでは届かない歯間や歯周ポケットの汚れを除去
フッ素入りの歯磨き粉使用 虫歯予防に効果的なフッ素を取り入れる
食生活の見直し 糖分は細菌の餌・酸は歯を柔らかくするので控え、だらだら食べしない
定期検診 3~6ヶ月毎に歯科医院での早期発見・対処
歯のクリーニング 専門的な器械でバイオフィルムや歯垢、歯石を除去する

自分の歯を残すために見直すべき習慣は?

自分の歯を残すために、見直しが必要な習慣を挙げてみましょう。






 

食後の歯磨きをしなければ、歯垢がたまり虫歯の原因になります。
飲食後は口の中が酸性になり、歯の表面のエナメル質が溶ける脱灰が起こります。時間がたつと中性に戻りエナメル質が回復する再石灰化しますが、間食が多いと脱灰の時間が長くなり、虫歯リスクが高まります。酸性の飲み物を飲む時も同様で、間食を控え、食後に歯を磨く習慣が大切です。

 

喫煙は口の健康に悪影響を及ぼします。
唾液が減少してしまい、口の中が乾燥して細菌が繁殖しやすい状態です。有害物質により血流が悪くなり、歯ぐきの免疫力も低下します。ヤニが汚れを定着させてしまい、虫歯や歯周病の原因になります。完全に禁煙できなくても、本数を減らすことができれば、口腔・全身の健康にプラスです。

歯を残すより抜いた方が良い時はある?

「できるだけ自分の歯を残す」ことが歯科治療の基本ですが、どうしても抜歯を選んだ方が望ましいケースも存在します。前提として、お口の状態や将来の治療計画によって異なるため、担当の歯科医師とよく相談することが大切です。

抜歯を検討する主なケース

他の方法では治療が難しい場合
重度の虫歯や歯周病などで、歯を残すことが医学的に難しい時には、抜歯が最善の選択になることもあります。

周囲の歯に悪影響を与えている場合
炎症を起こしている親知らずなどが、他の歯や歯ぐきに負担をかけている場合は、抜くことでお口全体の健康が守られることがあります。

治療の計画や将来設計にとって不都合な場合
たとえば矯正治療やインプラント治療などの妨げになる場合には、抜歯が必要になることもあります。

残すための治療に費用や期間の負担が大きい場合
技術的に残せる歯でも、費用や通院回数が多くかかるということがあります。ご本人のライフスタイルや価値観に合わせて、納得のいく選択をすることが大切です。

抜歯対象となった場合、無理に残そうとせず、長い目で見た時にお口全体の健康を守れるかを基準に考えると良いでしょう。

まとめ


人工歯も医学の進歩により機能などが向上していますが、自分の歯に勝るものはありません。虫歯や歯周病を予防し、できるだけ歯を抜かずに治療することが、全身の健康寿命にもつながります。

歯は失ってからその大切さに気づくことが多いですが、定期的な歯科検診と丁寧なセルフケアがカギです。今からでも遅くはありませんので、歯を残すことに目を向け、日々のケアを大切にしましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 クローバー歯科豊中駅前アネックス・矯正歯科
院長 中西 洋介

2015年 昭和大学 歯学部卒業。日本口腔外科学会。日本有病者歯科医療学会。日本口腔内科学会。

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クローバー歯科豊中駅前アネックス