予防歯科

歯のセルフケアで気をつける点を教えて

歯のセルフケアで気をつける点を教えて

クローバー歯科豊中駅前アネックス 歯科医師 中西 洋介

虫歯や歯周病の予防のためには、毎日のセルフケアがとても大切です。セルフケアの柱となるのは歯磨きですが、それ以外でも気をつける点がいくつかありますので、ご説明します。

セルフケアで気をつける点

健康な歯を長く維持するためには、以下のようなことを日常生活の中で気をつけていただけると良いです。

1. 食事は良く噛んで食べましょう

食事

良く噛んで食べることは歯だけでなく健康のために大切なことです。食べ物を咀嚼すると唾液がたくさん出ます。唾液にはお口の中の食べかすや汚れや細菌を洗い流す自浄作用や、細菌からの感染を防ぐ抗菌作用があるため、唾液をしっかり出すことは虫歯や歯周病の予防をはじめとするお口の中の健康維持のためにとても良いのです。

唾液の分泌が少なくお口の中が乾燥した状態になると、細菌が繁殖しやすい環境になりますので、日頃から唾液を出すように心がけましょう。

2. 唾液腺をマッサージしましょう

食事以外の時も時々唾液腺を軽くマッサージして、唾液を出してドライマウスを防ぎ、お口の中を潤わせるようにしましょう。

お口の中には、耳下腺(じかせん)・顎下腺(がっかせん)・舌下腺(ぜっかせん)と呼ばれる唾液の出やすいポイントがありますので、その部分を指で軽く押したり撫でたりして刺激します。

唾液腺をやさしくマッサージすると唾液の分泌が促されてお口の中が潤います。

3. 食後の歯磨きは30分くらいたってから行いましょう

デンタルケアグッズ

食べ物を食べると、お口の中は酸性に傾いて歯を溶かしやすくなります。しかしお口の中に唾液が存在していると、唾液の働きで酸性に傾いた状態を中性に戻してくれます。同時に、酸によって歯のエナメル質から溶け出したミネラルを歯に戻す再石灰化という働きをしてくれますので、食後は15~30分ぐらいの間をあけて歯磨きを行いましょう。

4. 歯みがき後は口をゆすぎすぎないようにしましょう

虫歯になりやすい方はフッ素入りの歯磨き剤を使っておられることと思います。フッ素は歯の表面に塗布された状態で歯を守りますが、あまりお口をゆすぎすぎると、せっかくの有効成分が全て水で流されてしまいます。それを防ぐためには、歯磨き後のゆすぎは軽く行いましょう。

5. 歯間ブラシやデンタルフロスを使いましょう

デンタルケアグッズ

歯ブラシだけでは歯と歯の間や歯と歯茎の間の溝にたまった汚れを取ることが出来ません。歯と歯の間や歯と歯茎の間の溝は、食べ物カスがたまりやすく、歯垢や歯石がつきやすい場所です。

歯間ブラシやデンタルフロスを日常的に使うことで、それらの落としにくい汚れをきれいに清掃することが出来るようになります。

ただし、歯間ブラシもデンタルフロスも、歯茎に強く当てすぎると、歯茎の退縮を起こしてしまいますので、力を入れすぎないように注意しながらそっと当てて使うようにしましょう。

6. 歯のエナメル質を溶かす酸性の食べ物飲み物は控えめにしましょう

レモン

健康の為にお酢のドリンクを毎日欠かさず飲み続けた結果、歯のエナメル質が溶けてしまって知覚過敏になる方がおられます。お酢は確かに身体に良いのですが、酸味の強いものを飲食するとお口の中が酸性に傾きます。

お酢の他に、みかんなどのかんきつ類やワインや炭酸水もお口の中を酸性にしますので、摂取が多くなりすぎないように注意しましょう。

7. 自分の癖や弱点を把握する

きちんと歯磨きできているかな?

定期健診の際に歯垢の染め出しを行うと、いつも決まって着色される(磨き残しの歯垢が歯に付着している)場所はありませんか?その部分は、食べ物が詰まりやすく、歯垢がたまりやすい場所です。

その部分は虫歯や歯周病になりやすいため、特に気をつけて歯磨きをしなければなりません。磨き残しがある場所をご自身で把握しておくことによって、その部分は歯磨きの最後にもう一度念入りに歯間ブラシやフロスを使って掃除しておくと、それをしなかった場合と比べると虫歯や歯周病のリスクはかなり違ってきます。

歯磨きで苦手としている場所が合ったら、それをしっかりご自身で認識してていねいにケアしましょう。

セルフケアを難しく考えないで

歯のメンテナンス(定期健診)のあとは、歯がツルツルになって歯垢も歯石も取ってさっぱりきれいになります。歯科衛生士による歯のクリーニングを毎日でも受けたいと思われるかもしれませんが、残念ながら定期健診を受けられるのは、1年に2~4回程度です。

保険のきかない自費診療での歯のクリーニングでしたら、毎日受けていただくことも可能ではありますが、現実的ではないですよね。そのため、歯を健康に保つためには、毎日のご自身でのセルフケアが大変重要になります。

しかし、難しく考えなくても大丈夫です。1日に2~3回ていねいに歯を磨いて、左右の歯でバランスよく噛むこと、噛み合わせを狂わせる原因となる噛みしめ、歯ぎしりをしない、頬杖をつくのをやめる、といった基本的なことを守っていただくだけです。

セルフケアを行ったうえで歯医者の定期健診を受けていただければ、虫歯や歯周病が悪くなる前に予防することは十分可能です。

歯のセルフケアの注意点に関するQ&A

歯のセルフケアの内容は?

歯のセルフケアの基本的な方法は、1日に2~3回ていねいに歯を磨くこと、左右の歯でバランスよく噛むこと、噛みしめや歯ぎしりを避けることです。これらの基本的なケアを守ることで、歯を健康に保つことができます。

歯と歯の間の汚れを取るための方法は?

歯と歯の間の溝にたまった汚れを取るためには、歯間ブラシやデンタルフロスを使用すると効果的です。これらの道具を使うことで、歯ブラシだけでは届きにくい場所の汚れを清掃することができます。ただし、歯茎に強く当てすぎないように注意しながら使用することが大切です。

歯磨きで磨き残しがある場所を把握する方法は?

歯磨きで磨き残しがある場所を把握するために、定期健診の際に歯垢の染め出しを行うと良いです。歯垢が着色される場所は磨き残しが多い箇所ですので、そこを特に注意して歯磨きを行う必要があります。磨き残しがある場所は歯間ブラシやデンタルフロスを使って掃除し、虫歯や歯周病のリスクを減らすことができます。

まとめ

歯のキャラクター

歯のセルフケアで気をつける点は、どれもほんの些細なことです。しかし、これらに気をつけて毎日過ごすと、虫歯や歯周病にかかるリスクがかなり低下します。セルフケアをちょっと気をつけて行うことで、ご自身の天然歯をぜひ長もちさせて、何歳になっても自分の歯で噛める健康な生活を送っていただきたいと思います。

この記事の監修者
医療法人真摯会 クローバー歯科豊中駅前アネックス・矯正歯科
院長 中西 洋介

2015年 昭和大学 歯学部卒業。日本口腔外科学会。日本有病者歯科医療学会。日本口腔内科学会。

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クローバー歯科豊中駅前アネックス