歯と口の基礎知識

良く噛むことで何かメリットはあるの?

良く噛むことで何かメリットはあるの?

クローバー歯科豊中駅前アネックス 歯科医師 中西 洋介

食べものを良く噛んで食べると消化に良いということは良くいわれますが、実はそれ以外にも良く噛むことで得られる健康上のメリットはたくさんあります。噛む回数が多いことのメリットについてご説明します。

良く噛むことのメリット

1. 消化を助ける

良く噛むことにより食物は細かく砕かれ、消化酵素が食物に混ざりやすくなります。唾液にはアミラーゼという酵素が含まれており、これがデンプンやグリコーゲンを分解し消化を助けます。大根おろしを食べると消化の働きが活発になって胃腸の負担が軽くなるといわれるのは、アミラーゼの働きによります。

さらに、良く噛むことは胃酸の分泌を促進し、食物が胃で効果的に分解されて栄養素が吸収されやすくなります。

2. 虫歯予防になる

良く噛んで食べると唾液が分泌されます。唾液には様々な働きがあり、お口の中の汚れや食べカスをきれいに洗い流してくれるので、むし歯予防につながるため、むし歯のリスクを減らします。

また、酸によって歯のエナメル質からミネラルが唾液中に溶け出しますが、唾液には再石灰化作用という働きがあり、溶け出したミネラルを再び歯に戻してくれます。この再石灰化作用によって軽度の虫歯は修復されます。

3. 脳の活性化に繋がる

良く噛むことは記憶力の向上や認知症の予防にも関係があるといわれます。良く噛むと脳神経が刺激されて脳の血流が良くなり、脳が活性化することで記憶力が良くなったり、認知症の予防に繋がります。

また、噛むことで脳からリラクゼーションホルモンが分泌され、ストレス軽減の効果も期待できます。毎日の食事でしっかりと噛むと共に、ガムを噛むことでも脳の活性化を促すことができます。

4. 歯並びが良くなる

よく噛むと頬の筋肉や舌を良く動かすので顎の骨の発育が促され、顎の骨が発達して広がり、歯並びが整います。逆に柔らかいものばかり食べて良く噛まずにいると、顎が小さく、歯がガタガタになってしまいます。

特に成長期の子どもたちにとって、毎日の食事でしっかりと噛むことは顎の骨の発育を促進させ、歯が重ならないようにきれいに一列に並べることに繋がります。また、噛むことは頬の筋肉や舌が活発に動かすため、顎の骨が適切に発達し、歯を適切な位置に並べることに繋がります。

逆に、柔らかい食物ばかり食べてあまり噛まない習慣がついてしまうと、顎が小さくなり、歯と歯が重なって生えたり、出っ歯になったりして歯並びが乱れる傾向があります。良く噛むことで、自然な力により歯並びを整えることが出来ます。

5. ダイエット効果が期待できる

食品を良く噛んで細かく砕いて食べると満腹効果が得られ、満腹感が得られやすくなるため食べ過ぎによる肥満を防ぎますので、結果としてダイエット効果が期待できます。

良く噛んで食べるためのコツは?

今まであまり噛まなかった人が咀嚼回数を増やして30回程度良く噛んで食べるようになるには、ちょっとしたコツがありますのでご説明します。

1.一口の量を調整する

多くの人はひと口で噛む回数は量によって変わらないという調査結果があります。ひと口の量を減らせば、噛む回数を増やせます。

2.よく噛んでから飲み込む

よく噛まずに塊のまま飲み込んでいませんか?しっかりと噛み砕き、擦りつぶしてから飲み込むことで、噛む回数が増えます。

3.ゆっくりと時間をかけて味覚を感じながら食べる

急いで食べると丸飲みになりがちですので、急がずゆっくりと時間をかけて食べ物の味を感じるよう心掛けながら食べるようにしましょう。

4.ながら食いをしない

スマホやテレビを見ながら食べていませんか? 何かに気を取られると、つい早食いになってしまいます。よく噛んで食べることに集中しましょう。

5.歯ごたえのあるものを食べる

やわらかいものよりも硬めのものの方が噛む回数が増えますので、やわらかい食材ばかりでなく、しっかり噛んで食べる食材も使うようにしましょう。

6.食材を大きめに切る

野菜や肉などを大きめに切ると、しっかり噛まなければなりません。食材の大きさにも工夫して良く噛むように心がけましょう。

7.家でリラックスして食べる

外食では気が散る方も、家でゆっくりとリラックスして食事をすれば、噛むことに集中できます。

良く噛むことのメリットに関するQ&A

良く噛むことが消化を助けるメリットは何ですか?

良く噛むことにより食物は細かく砕かれ、消化酵素が食物に混ざりやすくなります。唾液に含まれるアミラーゼがデンプンやグリコーゲンを分解し、消化を助けます。また、良く噛むことで胃酸の分泌が促進され、食物が胃で効果的に分解されて栄養素が吸収されやすくなります。

良く噛むことが虫歯予防になる理由は何ですか?

良く噛むことにより唾液が分泌され、唾液に含まれるアミラーゼや再石灰化作用が虫歯予防に効果的です。唾液は口内の汚れや食べカスを洗い流し、むし歯のリスクを減らします。また、酸によって歯のミネラルが溶け出す場合でも、唾液の再石灰化作用によってミネラルが再び歯に戻され、軽度の虫歯が修復されます。

良く噛むためのコツはありますか?

良く噛むためのコツとしては、以下のようなことがあります:
・一口の量を調整し、少なめの量を口に含むことで噛む回数を増やす。
・よく噛んでから飲み込むことで、噛む回数を増やす。
・食事をゆっくりと時間をかけて味わいながら食べることで、噛むことに集中する。
・ながら食いをせず、食事に集中する。
・歯ごたえのある食材を選び、しっかりと噛むことで噛む回数を増やす。
・食材を大きめに切ることで、より多くの噛む回数を必要とするようにする。
・家でリラックスして食べることで、噛むことに集中できる環境を作る。

まとめ

歯のキャラクター

良く噛んで咀嚼することには様々なメリットがあり、消化が良くなったり、脳への良い効果や、虫歯になりにくい、歯並びが良くなるなどの恩恵があります。日頃から噛む回数が少ない方は、少し気をつけて良く噛むように意識しましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 クローバー歯科豊中駅前アネックス・矯正歯科
院長 中西 洋介

2015年 昭和大学 歯学部卒業。日本口腔外科学会。日本有病者歯科医療学会。日本口腔内科学会。

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クローバー歯科豊中駅前アネックス