歯と口のトラブル

親知らずを抜くと腫れますか?腫れが起こる理由と回復までの目安を解説

親知らずを抜くと腫れますか?腫れが起こる理由と回復までの目安を解説

親知らずを抜くと腫れますか?

親知らずを抜いたあと、腫れることはあります。ただし、すべてのケースで強く腫れるわけではなく、抜歯の難易度や術後の過ごし方によって差が出ます。

「親知らず=腫れる」「顔がパンパンになる」というイメージを持つ方は少なくありません。一方で、ほとんど腫れずに日常生活に戻れる方もいます。この違いはどこから生まれるのでしょうか。

この記事では、「親知らずを抜くと腫れるのか?」という疑問に正面から答えつつ、腫れやすい条件、腫れのピーク、腫れを抑える考え方までを、一般の方にも分かりやすく整理します。

この記事はこんな方に向いています

  • 親知らずの抜歯を控えていて、腫れが心配な方
  • 仕事や予定への影響がどの程度あるか知りたい方
  • 抜歯後の正しい過ごし方を知っておきたい方

この記事を読むとわかること

  1. 親知らずを抜いたあとに腫れる理由
  2. 腫れやすいケース・腫れにくいケースの違い
  3. 腫れはいつからいつまで続くのか
  4. 腫れを悪化させないために大切な視点

 

親知らずを抜くと、なぜ腫れるのですか?

親知らずの抜歯後に腫れが起こるのは、外科的処置によって体が「治そう」と反応する自然な過程です。傷ができると、血流が増え、免疫細胞が集まり、その結果として腫れが生じます。腫れは異常ではなく、回復の一部といえます。

親知らずの抜歯後の腫れは、体が回復しようとする正常な反応です。

親知らずの抜歯は、歯を引き抜くだけの処置ではありません。歯ぐきを切開したり、骨に埋まっている歯を分割したりすることもあります。こうした操作は、体にとっては「小さな手術」です。

手術後、体は次のような反応を起こします。

  1. 血流を増やして傷を修復しようとする
  2. 細菌の侵入を防ぐため免疫反応が働く
  3. 組織の修復に必要な成分が集まる

これらが重なった結果として、頬や顎周囲が腫れることがあります。

ここで大切なのは、腫れ=トラブルではないという点です。多くの場合、腫れは治癒過程の一部として起こり、時間とともに落ち着いていきます。

親知らずを抜くと、必ず腫れますか?

親知らずを抜いたからといって、必ず腫れるわけではありません。歯の生え方や抜歯の方法、処置時間の長さによって、腫れの出方には大きな個人差があります。

親知らずの抜歯後の腫れには個人差があります。

「親知らずを抜いたら必ず腫れる」と思われがちですが、これは正確ではありません。
実際には、ほとんど腫れないケースも多く存在します。

腫れやすさを左右する要因として、以下が挙げられます。

  1. 親知らずがまっすぐ生えているか
  2. 歯ぐきや骨の中に埋まっているか
  3. 抜歯にかかる時間が短いか長いか

これらの条件が重なるほど、腫れが出やすくなります。

箇条書きで見ると次の通りです。

  1. 腫れにくいケース
    → 歯がまっすぐ生えており、短時間で抜歯できる場合
  2. 腫れやすいケース
    → 歯が横向き・斜めに埋まっており、骨を削る必要がある場合

これらを総合すると、腫れるかどうかは「抜歯の難易度」に左右されるといえます。

どんな親知らずだと腫れやすいのですか?

腫れやすいのは、歯ぐきや骨の中に埋まっている親知らずや、炎症を起こしている状態で抜歯を行うケースです。処置範囲が広がるほど、体の反応も大きくなります。

埋まっている親知らずは腫れやすい傾向があります。

特に腫れやすいのは、「埋伏歯(まいふくし)」と呼ばれる状態の親知らずです。

腫れやすい条件を整理すると、次のようになります。

  1. 親知らずが歯ぐきや骨の中に埋まっている
  2. 横向きや斜めに生えている
  3. 抜歯前から歯ぐきに炎症がある

これらの場合、歯を分割したり、周囲の骨を調整したりする必要があります。その結果、処置範囲が広くなり、腫れが出やすくなります。

この点を踏まえると、「腫れるかどうか」よりも「どんな状態で抜くのか」が重要だと分かります。

親知らずを抜いたあとの腫れは、いつがピークですか?

腫れのピークは、抜歯当日ではなく、翌日から2日後にかけて現れることが一般的です。その後、徐々に落ち着き、数日から1週間ほどで軽減していきます。

腫れのピークは抜歯後1〜2日目です。

多くの患者さんが意外に感じるのが、「抜いた当日はそれほど腫れない」という点です。

一般的な経過は次の通りです。

  • 抜歯当日 → 違和感はあるが腫れは軽度
  • 翌日〜2日後 → 腫れのピーク
  • 3日目以降 → 徐々に腫れが引いていく

この流れは、体の免疫反応が時間差で強くなるために起こります。

ここで重要なのは、ピークを過ぎてから無理をしないことです。
「もう大丈夫そう」と思っても、回復途中であることに変わりはありません。

親知らずを抜いたあとの腫れやすさを左右する条件は?

親知らずを抜いたあとの腫れやすさは、「抜歯の内容」や「歯の状態」によって大きく変わります。腫れの強さは個人差だけでなく、処置の難易度によってある程度予測することが可能です。

腫れやすさは親知らずの生え方や処置内容で変わります。

「自分はどのくらい腫れるのか?」という不安を持つ方にとって、言葉だけの説明ではイメージしづらいことがあります。そこで、親知らずの状態と腫れやすさの関係を、表で整理します。

親知らずの状態と腫れやすさの目安

親知らずの状態 抜歯の難易度 腫れやすさの目安 説明
まっすぐ生えている 低い 少ない 歯ぐきを大きく切らず、短時間で抜歯できるため、体への負担が比較的軽く済みます。
一部だけ歯ぐきに埋まっている やや高い やや腫れやすい 歯ぐきの切開が必要になり、処置範囲が広がることで腫れが出やすくなります。
横向き・斜めに埋まっている 高い 腫れやすい 歯を分割したり骨を調整したりするため、炎症反応が起こりやすくなります。
炎症を起こしている状態 高い 腫れやすい 抜歯前から組織に負担がかかっており、術後の反応が強く出やすい状態です。

表のポイントを整理すると

  1. 腫れやすさは「体質」だけで決まるものではありません
    → 歯の向きや埋まり方など、客観的な条件が大きく影響します。
  2. 腫れやすい=異常ではありません
    → 難しい抜歯ほど、体がしっかり反応しているともいえます。
  3. 事前説明が重要になります
    → 抜歯前に歯科医院からどのような説明があったかで、術後の不安の大きさは変わります。

これらを総括すると、「どのくらい腫れるか」を知ることは、不安を減らすための情報整理といえます。表で全体像を把握しておくことで、必要以上に心配せず、落ち着いて抜歯に臨みやすくなります。

腫れをできるだけ抑えるために大切なことは何ですか?

腫れを抑えるために最も大切なのは、「傷を刺激しない」「血流を急激に上げない」ことです。過度な運動や飲酒、強いうがいは腫れを助長する原因になります。

術後は安静と刺激を避けることが重要です。

腫れを最小限に抑えるために、術後の過ごし方は非常に重要です。

特に気をつけたいポイントは以下の通りです。

  1. 激しい運動を控える
    → 血流が急激に増えると、腫れや痛みが強くなります。
  2. 飲酒を避ける
    → アルコールは血管を拡張させ、腫れを助長します。
  3. 強いうがいをしない
    → 血のかさぶたが取れると、治癒が遅れます。

これらはどれも、「治りを早めるための行動」です。

箇条書きを総括すると、「何かを積極的にする」より「余計なことをしない」姿勢が大切だといえます。

腫れが長引く場合は、問題がありますか?

通常の腫れは数日で落ち着きますが、強い腫れや痛みが長く続く場合は、炎症や感染が関与している可能性があります。その場合は早めの受診が重要です。

腫れが長引くときは歯科医院に相談が必要です。

抜歯後の腫れが、1週間以上強く続く場合には注意が必要です。

次のような症状がある場合は、自己判断せず歯科医院へ相談しましょう。

  1. 腫れが日に日に強くなる
  2. 強い痛みが続く
  3. 口が開きにくい状態が改善しない

これらは、治癒過程とは異なるサインの可能性があります。

まとめ

「腫れるかどうか」より「どう向き合うか」が大切

親知らずを抜いたあとに腫れることは、決して珍しいことではありません。ただし、腫れは必ず起こるものでも、永久に続くものでもありません。

大切なのは、

  1. 抜歯の内容を事前に理解すること
  2. 術後の体の反応を正しく知ること
  3. 必要以上に不安を膨らませないこと

です。

腫れを「失敗」や「異常」と捉えるのではなく、体が治ろうとしているサインとして冷静に受け止めることが、安心につながります。

歯科医院は、痛みや腫れを我慢する場所ではなく、不安を相談する場所でもあります。不安な点があれば、遠慮なく相談することが、結果として回復を早める近道になります。

この記事の監修者
医療法人真摯会 クローバー歯科豊中駅前アネックス・矯正歯科
院長 中西 洋介

2015年 昭和大学 歯学部卒業。日本口腔外科学会。日本有病者歯科医療学会。日本口腔内科学会。

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クローバー歯科豊中駅前アネックス