歯と口の基礎知識

デンタルフロスと歯間ブラシはどう使い分けたらいいの?

デンタルフロスと歯間ブラシはどう使い分けたらいいの?

毎日のお口のケアの中でも、デンタルフロスと歯間ブラシは、効果的に食べ物のカスや歯垢を落とすための重要なツールとなりますので、必要に応じてぜひ使いこなして頂きたいと思います。デンタルフロスと歯間ブラシの使い方や使い分けについてご説明します。

デンタルフロスの種類と使い方

デンタルフロスにはホルダータイプ(糸ようじ)と糸巻きタイプがあります。初心者の方や子供はホルダータイプが使いやすいでしょう。

大人の方はぜひ糸巻きタイプを使いこなせるように練習してみて下さい。ホルダータイプとは違って歯に対して様々な角度にフロスを当てることが出来、歯と歯の間の汚れを効果的に落とすことが出来ます。

「百聞は一見にしかず」です。始めは糸巻きタイプで細めのフロスが使いやすいです。フロスを歯と歯の間に通してみたら、糸ようじとは比べものにならない程の汚れが、フロスの糸に絡まって取れると思います。

特に、前歯の表面や側面に出来た小さな虫歯をレジンで修復したことのある方は、レジンの上にフロスを滑らせることで、レジンについた汚れが、フロスに絡まってごっそり取れるのを体験されると思います。

糸巻きタイプのフロスには様々な種類があり、ワックスがついたものやフレーバー付き、細いもの、テープタイプなど、さまざまな選択肢があります。始めは細いタイプが使いやすいと思います。慣れてきたら色々試してみて、ご自分が使いやすいと感じる種類を選びましょう。

正しいデンタルフロスの使い方をマスターすることで、歯間部分の歯垢を効果的に除去し、歯周病のリスクを低減させることが出来ます。

以下は糸巻きタイプのフロスの種類や使い方です。

デンタルフロスの種類と選び方

  • ワックス有無・・滑りが良く初心者にも使いやすい
  • フレーバーの有無:使用感を向上させ好みで選ぶことが可能
  • テープタイプ:広い隙間に適しており、しっかりとした清掃が出来る

デンタルフロスの使い方

  • 50cm程度のフロスを切り取り、両端を中指に巻きつけて操作しやすい長さに調整します。
  • 指の間にフロスを張り、両手の親指と人差し指でフロスをしっかりと掴んでゆっくりと歯間に挿入し、歯と歯茎の境目を軽い力で前後に動かします。
  • 使用済みの部分を巻き取りながら、清潔な部分を使用して一つ一つの歯間を丁寧に清掃します。

デンタルフロスは歯と歯の間の歯垢を効果的に絡め取ることが出来ますので、毎日のデンタルケアに組み込みましょう。

【注意点】

  • 一度使った部分には細菌がついているため、次々に新しい面を使うようにしましょう。
  • 歯茎を傷つけないよう、歯茎の近くは軽い力でフロスを動かしましょう。
  • フロスは使い捨てなので少しですがコストがかかります。
  • 使い方が良く分からないときは定期健診の時に歯科衛生士に質問しましょう。
  • 毎日1回はフロスを使いましょう。就寝前に使うのがお勧めです。
  • 被せ物をしている歯でフロスが引っかかる場合は、無理に引っ張らずに、フロスの片方を指から外して引き抜きましょう。無理に力を入れると、フロスによって被せ物が取れてしまう場合がありますので注意しましょう。
  • デンタルフロスを使った時に歯茎から血が出る場合は、歯茎に強く当てすぎているか、歯茎に炎症が起こっている時です。歯間の清掃は必要ですが、強く当てすぎないように注意しながら行いましょう。

デンタルフロスをおすすめする理由

デンタルフロスは、細い繊維を束ねて糸状にしたもので、歯と歯の間の狭い隙間に通すことで、歯ブラシでは落としにくい歯と歯の間の歯垢をフロスに絡めて簡単に除去することができます。

歯ブラシに加えてデンタルフロスを使う主なメリットは、以下の4つです。

1. 歯と歯の間の歯垢の除去が効果的に行える

歯と歯の間は歯ブラシの毛先が届きにくいため、丁寧に歯磨きをしていても歯垢が残りやすい場所です。歯ブラシとフロスを併用することで、歯と歯の間の歯垢がきれいに落とせるようになります。

2. 虫歯、歯周病の予防になる

歯垢は虫歯や歯周病の原因になりますので、フロスを使って歯垢をしっかり落とすと虫歯や歯周病の予防につながります。

3. 口臭の改善につながる

口臭の原因の一つは、食べ物のカスや歯垢などの汚れがお口の中に残っているということです。口臭は自分では気付きにくいですが、もし使用後のデンタルフロスを嗅いでみて「臭い」と感じたら、歯についた汚れから口臭がしている可能性があります。

歯垢が臭うのは、歯垢の中の細菌によるものです。フロスを使って歯垢をしっかり取り除くことで、口臭を予防したり改善したりできますし、お口の中から細菌が減って清潔になります

4. むし歯や歯周病、詰めものなどの不具合を早期発見できる

デンタルフロスを使っていて、「いつも同じ場所で引っかかる」「フロスが通りにくい場所がある」などが気になる時は、虫歯ができている、もしくは詰めものや、かぶせものに不具合がある可能性があります。

また、デンタルフロスを使うと「歯茎から血が出る」場合は、歯周病の疑いがあります。いずれの場合も、まずは歯科医院で診てもらうようにしましょう。

歯間ブラシの基本と効果

歯間ブラシは、特に歯間が広い場合やブリッジ、矯正器具を使用している人にとって便利な清掃ツールです。適切なサイズと形の歯間ブラシを選ぶことが大切です。ただし、歯茎と歯の間にスペースがなくて歯間ブラシが入らない方は、使う必要はありません。

1. 歯間ブラシの選び方

サイズ選びが最も重要です。歯間の空間にぴったり合うサイズを選ぶことで、ケアの効率が大きく変わります。サイズが大きすぎると、歯茎を傷めますので、初めは歯科衛生士にぴったりなサイズを選んでもらいましょう。

  • 持ち手の形はI字型とL字型があり、前歯はI字型が使いやすいのですが、奥歯にはL型が便利です。
  • 毛先はゴム製と金属製のワイヤーにナイロンのブラシがついたものがあります。
  • 毛先の形は3種類あり、ストレート、テーパー(逆三角形)、バレル(楕円形)があります。市販されているのはストレートタイプが多いです。

2. 正しい歯間ブラシの使い方

  • 歯間ブラシを歯間に優しく挿入し、前後に軽く動かして歯垢を取り除きます。
  • 使用する際は無理に押し込まず、歯間にスムーズに入るサイズを選ぶことが大切です。

歯間ブラシの利用は、デンタルフロスと比較して物理的に大きな食べ物のカスや歯垢を効果的に除去できるため、歯間が広い人には特に推奨されます。

【注意点】

  • 必ず自分に合ったサイズの歯間ブラシを使いましょう。
  • 歯茎を傷つけないように力を入れずに使いましょう。
  • 無理に差し込まないようにしましょう。
  • 歯茎に炎症がある場合、歯間ブラシの使用で歯茎から血が出ることがあります。その場合は歯間の清掃は必要ですが、あまり歯茎を刺激しないようにしましょう。

歯間ブラシをおすすめする理由

歯間ブラシをおすすめする理由には以下のようなものがあります。

1. 歯間のプラーク除去

歯間ブラシは、歯ブラシでは届きにくい歯と歯茎の間の歯垢を効果的に除去し、虫歯や歯周病のリスクを減少させることができます。

2. 歯周病の予防

歯と歯茎の間に歯垢がついたままになると、歯肉炎や歯周病が起こりやすくなります。歯間ブラシを使うことで、これらの病気の予防に役立ちます。

3. 口臭の改善

歯間に残った食べ物のカスや歯垢は口臭の原因になります。歯間ブラシを使うことで、これらを除去して口臭を改善することができます。

4. 全体的な口腔衛生の向上

定期的に歯間ブラシを使用して汚れを落とすことで、お口の中の歯垢を減らし、虫歯や歯周病の予防に役立ちます。

歯間ブラシは歯茎と歯の隙間に差し込んで使います。ブリッジや矯正器具を装着している場合にも役立ちます。歯科衛生士と相談して、自分に合ったサイズと種類の歯間ブラシを選ぶことが重要です。

歯間ブラシを取り替えるタイミングは?

歯間ブラシはブラシの先を洗ってある程度使い続けることが出来ます。歯間ブラシの取り換えのタイミングとしては、ブラシの毛に乱れが出てきたり、ワイヤーが曲がって来たら取り替えましょう。

ゴム製の歯間ブラシは使い捨てが一般的ですが、取り替えるタイミングについては歯科衛生士に確認しましょう。

デンタルフロスと歯間ブラシの使い分け

お口の健康を保つためには、デンタルフロスと歯間ブラシを適切に使い分けて毎日のお手入れを行うことが大切です。

1. デンタルフロスの使用シーン

  • 歯間が狭く歯間ブラシが入らない場合
  • 歯茎を傷つけずに汚れを取り除きたい場合

2. 歯間ブラシの使用シーン

  • 歯間が広く歯間ブラシが簡単に入る場合
  • 矯正器具やブリッジの下のケアが必要な場合

まとめ

歯ブラシとデンタルフロスと歯間ブラシを適切に使い分けることで、それぞれのツールの長所を生かして効果的に歯垢を除去することが出来ます。歯ブラシだけのケアと比べて、磨き残しがかなり減りますので、お勧めです。使い方が良くわからない方は、定期健診の時に担当の歯科衛生士にお尋ねください。

この記事の監修者
医療法人真摯会 クローバー歯科豊中駅前アネックス・矯正歯科
院長 中西 洋介

2015年 昭和大学 歯学部卒業。日本口腔外科学会。日本有病者歯科医療学会。日本口腔内科学会。

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クローバー歯科豊中駅前アネックス