審美歯科

審美歯科とは? – 見た目も機能も叶える美しい口元をつくる歯科治療

審美歯科とは、虫歯の治療の歯医者と何が違うのか、いまいちわからないという方も多いのではないでしょうか。歯の健康を回復するという目的の一般歯科とは違い、見た目の美しさを追及する目的があるのが審美歯科です。詳しくご紹介いたします。

審美歯科とは何か?

審美歯科は、歯の健康を維持や回復しつつ、その見た目の美しさも追求する歯科医療の分野を指します。虫歯や歯周病などの病気の予防や治療に重点を置く一般歯科とは少し異なり、歯の色や形、位置や歯茎の色など、口元全体の印象を整えることに重点を置いています。

  • 歯が黄ばんで見える
  • 前歯の形や大きさが気になる
  • 歯並びが少し乱れていて笑った時に気になる

見た目への悩みに対して、審美歯科ではそれを改善する治療を提案しますが、大きな特徴としては、機能回復と美的改善の両輪を回すところでしょう。歯を単にきちんと使える状態にするだけでなく、笑顔に自信を持てる状態にする目的も加わります。近年ニーズが高まり、審美歯科への関心も大きくなってきています。

一般歯科との違い

審美歯科と一般歯科の違いを整理する際、ポイント別で見ると分かりやすいです。

比較項目 一般歯科 審美歯科
目的 歯の健康維持や機能回復(虫歯、歯周病、抜歯など) 歯の美しさと機能を両立し、見た目の改善を重視
費用 公的保険が適用されることが多く、費用は安い 保険適用外の自費診療が中心で、高額になりやすい
治療内容の範囲 虫歯や歯周病治療、詰め物や被せ物の修復など ホワイトニング、セラミック治療、ラミネートベニア、矯正、ガムピーリングなど
治療精度・技術レベル 機能回復が目的で、素材や技術に制限あり 自然な歯の色や形を再現するため、高度な技術、精密な仕上げが必要
素材の選択肢 銀歯、レジンなどの保険適用素材が中心 セラミック、ジルコニアなど高品質で審美性の高い素材を使用
審美性へのこだわり 最低限の見た目改善にとどまることが多い 歯並びや歯の色、歯茎のラインなど、口元全体の美しさを追求
仕上がりのイメージ 噛める、治ることがゴール 自然で美しい笑顔を目指す仕上がり
患者さんのニーズ 痛みの改善や噛み合わせの修正 白い歯、歯並びを綺麗にして口元に自信を持ちたい

一般歯科との違いを理解することで、審美歯科を選ぶ意味やどのような場面で適しているかが明確になります。

審美歯科で行われる代表的な治療内容

審美歯科は機能回復のみでなく見た目をどう整えるか、どこまで美しく仕上げるかが治療プランの重要な部分となります。代表的なものをいくつかご紹介します。

ホワイトニング

歯の表面に付着した色素(コーヒー、紅茶、タバコなど)や、歯そのものの色調を明るくする治療です。

  • 自宅でマウスピースを使ってじっくり行うホームホワイトニング
  • 歯科医院で薬剤を用いて短時間で行うオフィスホワイトニング(当院では行っておりません)

ホームホワイトニングは処方された薬剤を用いて、歯科医院で指導を受けご自身で行うため、時間が掛かりますが、長く白さを保つことができます。対してオフィスホワイトニングは、短時間で行えるメリットはありますが、長く白さを保つことがでいません。それぞれ用途や効果、期間が異なります。最近、サロンなどで行うセルフホワイトニングもよく見かけますが、トラブルが起きた際に有資格者がいないため、安全面で疑問があります。

セラミック治療

金属を使わず、天然歯に近い色や透明感をもつセラミック素材を、気になる歯に詰め物や被せ物として用いる治療です。

  • セラミックのみの素材を選ぶと金属アレルギーの心配がない
  • 美しい仕上がりが期待できる

素材や技術によっては長期的に安定した見た目を維持できます。

ラミネートベニア

前歯の表面をわずかに削り、薄いセラミックのシェルを貼り付けることで、歯の色や形、向きを整える治療法です。ネイルが好きな方ならば、ネイルチップのような状態と言えばわかりやすいでしょう。軽度の歯並びや変色、欠けなどに対応可能でき、自然な見た目や滑らかな仕上がりが特徴です。

矯正治療

見た目も重視しながら歯並びを整える矯正治療は、成人の方にも人気です。マウスピース矯正は半透明で、表側に付けるワイヤーブラケット矯正より目立たず、食事前にご自身で取り外しができます。歯の裏側にワイヤーを装着するリンガルブラケット矯正は、人に知られず矯正が行え、審美性を損ねないという点がメリットです。当院では矯正歯科にてこの治療を行っております。

ガムピーリング

メラニン色素沈着により黒ずみや変色が起きた歯茎を、レーザーや特殊な薬剤で取り除き、健康的なピンク色へと取り戻す治療です。歯茎の色改善について、短時間での処置が可能な場合もあります。

審美歯科を選ぶメリット

審美歯科の治療は美しさだけではなく、美しさを通じた機能や歯の健康改善、生活の質の向上といった側面をも併せ持っています。審美歯科において得られる主なメリットを挙げていきましょう。

見た目が改善する

歯の色や形、位置を整えることで、笑った時や話した時に口元が美しくなり、印象が大きく向上します。

自信が向上する

口元にコンプレックスがあると、人前で笑うことをためらい口元を隠したり、会話や接客、撮影などで気になることがあります。治療を行い、自信を持って笑える口元を得られれば、コミュニケーションや社会活動にもプラスになる可能性も容易に考えられます。

口腔内の健康が促進される

見た目を整える過程で歯並びが改善されたり、詰め物や被せ物の精度が上がると、歯磨きがしやすくなり、食べかすや歯垢が歯間や歯と歯肉の間に残りにくくなります。結果として、虫歯や歯周病のリスクが下がるという報告もあります。

審美歯科を選ぶ際の注意点とデメリット

一方で、審美歯科を検討する際には以下のようなデメリットや注意すべき点もあります。

費用が高額になりやすい
審美歯科の治療は保険適用外です。特にセラミック治療やラミネートベニア、矯正治療は高額になることがあり、事前に治療費用をしっかり確認することが重要です。

治療の効果は永久ではない
ホワイトニングは時間とともに色が戻る可能性があります。また、セラミックやラミネートベニア、矯正後の歯並び保持など、経年劣化、破損、後戻りのリスクがあり、定期的なメンテナンスが必要です。

歯への負担が大きくなることがある
ラミネートベニアでは歯の表面を削る必要があったり、被せ物を入れる治療では元の歯を削ったり、抜いたりする可能性があります。処置は歯にダメージがあるため、治療前にリスクを理解しておくことが大切です。

審美歯科は美しくなるという期待に応える反面、治療を受ける側が負うコストやメンテナンス、リスクがあります。希望のみで選ぶのではなく、自分のライフスタイルに合っているか、口腔状況や予算、将来のメンテナンスを含めた判断が求められます。

審美歯科を受ける前に確認すべきポイント

審美歯科を検討する際、次のようなポイントを事前にチェックしておくと、安心して治療を進めやすいです。

歯科医院の審美歯科実績症例、素材の種類、技術、設備などを確認
治療前に色、形、仕上がりのイメージ、費用の見積もりを相談
保険適用か自費診療かを理解し、費用負担や支払い方法を把握
歯を削る量やダメージ、経年劣化などのリスクの説明を受ける
メインテナンス、定期検診、色戻り、破損などの長期的なケアが可能か確認
虫歯、歯周病の有無、歯並び、噛み合わせなどを把握し、審美以外の機能面も整えるよう重視

これらの確認事項を事前に押さえておけば、思った仕上がりにならなかった、費用以上の負担がかかったといったトラブルを未然に防ぎやすいです。審美歯科で美しい口元を手に入れるには、治療前の準備と治療法や歯への理解が非常に重要です。

まとめ

審美歯科とは歯の機能回復だけでなく、見た目の美しさも追求する分野です。一般歯科と比べると美しさという価値を加えるため、費用、素材、技術、仕上がりにおいて異なる点が多く、治療選択の幅も広がります。しかし、審美歯科を検討する際には、コストやメンテナンス、治療による歯への負担や仕上がりの実現性など、注意すべき点も少なくありません。そのため、どのような口元を目指すか、自分にとって必要な治療は何か、将来どのくらいケアできるかをしっかり考えたうえで、信頼できる歯科医師と十分に相談して治療を進めることが大切です。

自信のある口元で笑えるようになりたいという思う方には、審美歯科は有力な選択肢になりますが、美しさを手に入れるためには、事前の情報収集と準備が不可欠です。ぜひ、自分の口元やライフスタイルとしっかり向き合ったうえで、検討してみてください。

この記事の監修者
医療法人真摯会 クローバー歯科豊中駅前アネックス・矯正歯科
院長 中西 洋介

2015年 昭和大学 歯学部卒業。日本口腔外科学会。日本有病者歯科医療学会。日本口腔内科学会。

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クローバー歯科豊中駅前アネックス