歯茎が白いと感じた場合、口腔内の異常を示すサインという可能性があります。歯茎が白くなる原因や考えられる病気、治療方法、予防法まで詳しくご紹介いたします。
歯茎が白くなる原因とは
歯茎が白くなる症状について、考えられる原因を挙げます。鏡で状態をチェックしてみましょう。
摩擦や傷による刺激
硬い歯ブラシや強い力で日常的に磨いていると、歯や歯茎に傷をつけてしまいます。歯のエナメル質には小さな傷ができたり、歯茎は白くなったり下がる原因になります。
口内環境の悪化
歯磨きを怠ってしまうと、食べかすや歯垢(プラーク)によりお口の中は酸性に傾きます。また、歯垢が唾液中の成分と結合して歯石となり歯周ポケットに沈着すると、歯茎が炎症を起こし白っぽく見える場合があります。
栄養不足である
歯茎は毛細血管が集まっています。そのため、ビタミンB群や鉄分が不足すると、粘膜の健康を損なうことで、ピンク色の歯茎が白くなることがあります。
口腔内の感染症になった
カンジダ菌やウイルスに感染すると、歯茎が白くなることがあります。
歯茎が白い時に考えられる主な病気と症状
歯茎が白くなる原因の一つに、病気が関係している可能性があります。
口内炎
最も多いお口の病気として考えられるのは口内炎です。口内炎には種類がありますがアフタ性口内炎が多いでしょう。歯茎や頬の内側の粘膜で炎症が起きて白い潰瘍ができ、そこに舌先が触れると痛みを伴うという症状がでます。アフタ性口内炎が出来る原因として、栄養不足や睡眠不足、ストレスや体調不良などにより起こりやすいです。他に誤って粘膜を噛んでしまったり、義歯や虫歯の不具合によって起きる水ぶくれのようなカタル性口内炎があります。
貧血
外気温や冷たい飲み物で体を冷やしすぎたり、喫煙習慣があると血管は収縮して白くなります。体内の他の部分で出血していたり、著しく鉄分が不足している場合も同様です。貧血が進行してしまうと、ピンク色の歯茎も白っぽくなってしまいます。
カンジダ症(口腔カンジダ症)
通常の免疫力であれば症状を引き起こさないものが、免疫力が低下した時に増殖して発症するのが日和見真菌感染症(ひよりみしんきんかんせんしょう)です。ヘルペスなどもそれに該当しますが、口腔カンジダ症もその一つです。口腔カンジダ症は舌や頬の粘膜に白い苔のようなものができ、それを剥がすと腫れや出血を伴い、味覚に異常をきたす場合があります。真菌は抗生物質を投与しても効果はなく、抗真菌剤を投与します。
白板症(はくばんしょう)
口腔内は全て粘膜に覆われていますが、何らかの原因で一番外側の上皮が分厚くなり、粘膜の血管が見えず白く見えている状態を白板症と呼びます。原因としては飲酒や喫煙、詰め物や被せ物の不適合、ビタミン不足などが考えられます。歯茎や舌、頬の粘膜に、こすっても取れない白いものがあれば白板症の可能性が高いです。ただし、舌に出来た場合は、悪性化してがんに進行するリスクがあるため、早めに診察を受けましょう。
口腔がん
お口の中に出来る悪性腫瘍を指し、舌、歯茎、頬の粘膜、お口の天井部分の硬口蓋(こうこうがい)、舌と歯茎の間の窪みの口腔底(こうくうてい)、唇などに発生します。唇に出来るがんは口唇(こうしん)がんと呼び、下唇で発症することが多いです。歯茎にがんができてがんが広がる浸潤(しんじゅん)状態になると、歯のぐらつきを感じることがあり、更に進行すると食事が飲み込みにくく、口が開けにくいもしくは話しにくい状態になります。
骨隆起(こつりゅうき)
骨隆起とは顎の骨が部分的に成長し、歯茎の表面に硬い突起ができます。ぼこっと出ていて痛みはないケースが多いですが、会話や咀嚼の際に異物感や違和感を覚えることが多いです。主に歯ぎしりや食いしばりが原因と言われます。
- 犬歯から奥歯にかけて歯茎の外側に突起ができている場合は外骨隆起
- 上顎の内側や口蓋などに突起ができている場合は内骨隆起
歯周病の進行
歯周病菌により歯茎や歯を支える骨がどんどん溶けてしまいます。歯茎の炎症が悪化すると、白く腫れたり、膿が出て、歯がグラグラ動揺して抜歯に至ることがあります。
いずれにしろ病気が疑われる場合は、早めに歯科医師の診断を受けることが重要です。
歯茎が白いのを歯科医院で治療する方法
歯科医院では、歯茎が白くなる原因について適切な治療を行えます。
クリーニング
歯ブラシでは取り除けない歯石や付着した歯垢(プラーク)を、有資格者のスタッフが専門器具を使用してスケーリングし除去します。歯のみではなく、歯と歯茎の境目に沈着した歯石も取り、歯をつるつるに研磨してお口の中の環境を整えます。
抗真菌薬や抗生物質の処方
カンジダ症や細菌感染の場合、薬を処方してもらいます。処方通りに服用していけば症状を改善します。
栄養指導
貧血や栄養不足が原因という場合は、食生活の見直しをすすめます。貧血は歯周病に大きく影響を及ぼすため、貧血と歯周病の両方に注意をしながら、自己管理などを徹底してもらいます。
白板症の治療
白板症が疑われる場合、まず周囲に刺激するようなものがないか確認を行います。被せ物や詰め物が合わなくて起きているならば、それらの調整をして、白板になっている部分を除去します。早期に組織検査を行い、がん化していないか確認のうえ、治療を進めます。
歯周病の治療
歯周ポケットをしっかりと洗浄して炎症の治療を行い、歯茎の健康を回復します。専門器具で細菌を取り除けないほどに深い歯周ポケットには外科的治療をする場合があります。歯茎を切開して歯石や歯垢を除去するフラップ手術により、歯周病の改善を行います。
口腔がんや骨隆起は、切除などの外科処置を行います。飲酒や喫煙が習慣としてあり、それが一因という場合はやめるようにしましょう。
歯茎の健康を維持するための予防策と生活習慣の見直し
歯茎の健康を維持するためには、日常的なケアと生活習慣の見直しが欠かせません。
定期的な歯科検診を受ける
3~6ヶ月に1度、歯科医院でメインテナンスを受けましょう。歯や歯茎の状態を定期的にチェックすれば健康な状態を保持でき、また異常があれば早期発見や早期治療が可能です。
適切な歯磨き習慣を持つ
毎日丁寧に歯を磨き、歯茎のケアを怠らないようにします。柔らかい歯ブラシを使用し、歯と歯茎の境目を意識して優しく丁寧に磨きましょう。デンタルフロスや歯間ブラシを就寝前に活用して、歯間や歯周ポケットの汚れを取り除くことをおすすめします。
栄養バランスを整える
皮膚や粘膜の維持をするために必要なビタミンB群や鉄分を積極的に摂取しましょう。バランスの取れた栄養豊富な食事を摂り、歯茎や体を健康に保ちます。
口腔内を清潔に保つ
食後に歯磨きがどうしても難しい場合、うがいをしましょう。アルコールフリーの洗口液を使用したり、こまめに水分補給で口内を潤しておけば細菌の増殖を防ぎます。
ストレス管理を行う
ストレスが大きいと交感神経が働き、唾液がねばねばします。反対にリラックスした状態では副交感神経が働き、唾液はサラサラになります。ねばねばした唾液は歯や歯茎を乾きやすくし、細菌感染にかかるリスクが高まります。ストレスを溜めすぎないように、リラックスする時間を持つことが大切です。
いずれも習慣化することで、歯茎が白くなるトラブルを未然に防ぐことができます。
まとめ
歯茎が白い状態の原因と対処法、予防について詳しく解説しました。歯茎の白さは口内の健康状態を示すサインの一つです。異変を感じたら早めに歯科医院で相談し、健康な口腔環境を保ちましょう。